日蓮大聖人は、鎌倉幕府へ建白の書「立正安国論」進覧により、悪口罪という、念仏者の讒言によるいわれなき罪を着せられ伊豆伊東に二か年の御流罪となられました。弘長三年(一二六三)聖人は得宗時頼の裁量で御赦免となり、懐かしき故郷安房の国小湊に慈父の墓参り、悲母の見舞いにお帰りになりました。懐かしき小湊の生家を訪へば、母は病に伏し、息絶えたところであった。大聖人は悲母の命を乞うため、直ちに法華経を誦し、お題目をお唱えになられ仏天のご冥助を念じ、精魂祈りを込め護符を含ませたのです。仏天はこれを納受、悲母の唇は桜色に色づき、「現身に病を癒すのみならず、四箇年の寿命をのべたり」とお述べになられました。悲母は私に「生命と魂」を下さった。悲母は『心を照らす日月の光明』『闇夜の大灯明』です。さて、【護符】について。法華経の要文・神呪を書いて病者に与え服せしむ。服する者を守護・加護するゆえ【護符】といいます。弘安五年二月、日蓮大聖人の有力檀越である駿河の南条時光が重病を患いました。大聖人は身延よりお手紙を添え【護符】(薬王品の二十八字=この経は則ちこれ閻浮提の人の病の良薬なり。若し人、病有らんに、この経を聞くことを得ば、病すなわち消滅して不老不死ならん)この一文が先の『伯耆公御房御消息』のお手紙です。このお手紙を《悲母蘇生の一文》といいます。その後、南条時光は妙法経力の功徳により全快し、九十余歳の御寿命いただきました。
五月十二日は、私たちの謗法罪を一身に受けてくださった宗祖日蓮大聖人伊豆伊東御流罪の御正當日、そして、私たちに生命と生きる力(悲母蘇生)を下さった母の日です。御題目を以て報恩感謝致しましょう。そして、報恩感謝の気持ちをカーネーションにお手紙を添えて、御宝前に奉納してください。大聖人も、お母さんもお慶びになられます。(カーネーションはお寺で用意します。お手紙の用紙は同封します。)いっぱいお題目をお唱へし、現世安穏の利生をいただきましょう。
ご法要は5月12日(日)正午より奉修致します。
皆様のご参詣お待ち申し上げております。